チェーンレター。
チェーンレター(chain letter)とは、受け取った人に「同じ文面を写して、決まった人数へ決まった期限内に送れ」と求める手紙のことです。写しの命令を、文面自身が抱えているのが特徴です。
ふつうの手紙は、読まれた時点で役目が終わります。チェーンレターは終わりません。中身の半分が「この手紙をどう扱うか」の指示でできていて、受け取った人を次の書き手に変えることを目的にしています。慈善の寄付を集める型、幸運を約束する型、止めると不幸が来ると脅す型、金銭を要求する型、そして電子メールやSNSで回るチェーンメール。呼び名は違っても構造は同じです。
写されるうちに、勝手に変わる
手で書き写す時代のチェーンレターには、複製・変異・淘汰という三つがそろっていました。写せば増える。写し間違いや思いつきの書き足しで少しずつ変わる。そして「回されやすい文面」だけが先へ進む。米国のダニエル・W・ヴァンアースデイルは数千世代ぶんの実物を集めて分類し、成功した変異の一部は意図的な工夫ではなく書き間違いとして現れた、と記録しています。
日本での呼ばれ方
日本では1922年(大正11年)に「幸運の手紙」として広まったのが早い記録で、1970年秋からは「不幸の手紙」が流行しました。前者には差出人名と仲介者の名簿があり、後者では匿名になっています。1990年代後半には、誤字から生まれた「棒の手紙」という亜種が本家より多く出回りました。
補足:チェーンレターは、内容が脅迫や金銭要求に及ぶかどうかで法的な扱いが変わる。日本では1970年代当時、警察が「脅迫罪にはあたらず取り締まりようがない」とコメントした記録が新聞に残っている。受け取ったら回さずに処分する、が一貫した推奨対応。