ガス置換包装。
ガス置換包装とは、密封した包装の中の空気を追い出し、代わりに窒素や二酸化炭素などの気体に入れ替えて閉じる包装技術です。英語の Modified Atmosphere Packaging から、業界ではMAPとも呼ばれます。
ふつうの包装は、中身と一緒に空気も閉じ込めます。乾いた空気の体積比は窒素が約78%、酸素が約21%。この2割の酸素が、油脂の酸化や微生物の繁殖を進めてしまいます。そこで、封をする前に空気を吸い出し、反応しにくい気体で満たしてから閉じる。日持ちを延ばすためのひと手間です。
狙いは「入れる」ではなく「減らす」
窒素はもともと空気の8割を占めるので、入れ替える作業は一見むだに見えます。ただ目的は窒素を入れること自体ではなく、酸素の割合を下げること。何もしてくれない気体で場所を埋めることに意味があります。何を入れるかは食品によって変わり、窒素・二酸化炭素・酸素を最適な比率で混ぜる場合もあります。
膨らませるのは、別の理由
ポテトチップスの袋のように、はっきり膨らませてあるものもあります。これは酸素対策とは別の役目で、気体のクッションとして中身を割れにくくするためです。カルビーは窒素を入れる理由を「①味や臭いを守り、おいしさを保つ ②窒素で袋を膨らませることで、壊れやすいポテトチップスを守る」の2つとして公開しています。真空に近づけて潰してしまう包装が向かない食品では、膨らみそのものが保護装備になります。
ガス置換包装が使われているのは、ポテトチップスやスナック菓子だけではありません。カット野菜やサラダ、総菜、コーヒー、チーズなど、スーパーの棚のかなりの範囲に及びます。中身が減ったように見える膨らみは、たいてい中身を届けるための設計です。
補足:日本産業規格(JIS)にも「ガス置換包装」の定義があり、容器から空気を排気して不活性ガスで置換し密封する包装として説明されている。出典:株式会社ガスレビュー「産業ガス業界辞典 ガス置換包装」/カルビー株式会社「よくいただくご質問」/株式会社湖池屋「お客様センター」。