用語辞典 — ツギノテ。FUNGLOSSARY

ヘッドライニーズ

ヘッドライニーズ(headlinese)とは、新聞の見出しの中でだけ使われる、圧縮された書き方のことです。決められた横幅に情報を収めるため、be動詞や冠詞を落とし、同じ意味なら文字数の少ない語を選びます。

見出しは、文章というより設計図に近い書き方をします。英語の見出しでは a・an・the がほとんど消え、is や are も省かれます。動詞も、consider ではなく eye、investigate ではなく probe、criticize ではなく slam というように、短くて絵の浮かぶ語が選ばれます。本文で同じ書き方をしたら読みにくくて仕方がないので、見出しの中だけの方言だと考えるのが早いです。

短さが、語をつくることがある

この文体には副作用があります。本文には存在しない短い言い換えが、見出しの中で新しく組み立てられてしまう。読者はそれを毎日目にするので、やがて元の長い言い方より覚えられます。見出しは記事を要約する役目だったはずが、語彙のほうを書き換えてしまうわけです。

日本語の見出しでも起きる

日本語でも事情は同じで、助詞を落とす、送り仮名を詰める、長い組織名や制度名を略語に置き換える、といった処理が起きます。略語がそのまま定着し、元の正式名称のほうが読めなくなる例は珍しくありません。

補足:ヘッドライニーズは新聞社の「怠慢」ではなく、物理的な制約から生まれた技術である。活版の時代は1行に入る文字数が動かせず、見出し係は意味と字数を同時に合わせる専門職だった。ただし圧縮しすぎると読み違いを招くため、英語圏では二通りに読める見出しが定期的に笑いの種になっている。