用語辞典 — ツギノテ。FUNGLOSSARY

オイラー閉路

オイラー閉路とは、図形のすべての線をちょうど1回ずつ通って、出発点に戻ってくる道すじのことです。いわゆる一筆書きのうち、始めた場所で終わるもの。線を2回なぞってもいけないし、なぞり忘れてもいけません。

点と線でできた図(グラフ)で考えます。ある点から出ている線の本数を、その点の次数といいます。オイラー閉路があるかどうかは、この次数だけで決まります。条件は2つ。線が全体としてひとつながりであること、そしてすべての点の次数が偶数であること。ひとつでも奇数の点があれば、閉路はありません。

入ったら出る、を数える

理屈は単純です。閉路のなかでは、ある点に入ったら必ずその点から出ていきます。入る線と出る線が必ず対になるので、その点に集まる線は2本ずつ消費されていく。だから偶数でなければ辻褄が合いません。奇数の点は、最後に「入ったきり出られない」場所になります。

戻ってこなくてよいなら条件はゆるみます。全部の線を1回ずつ通る一本道(オイラー路)は、次数が奇数の点がちょうど2つまでなら引けます。その2点が、道の始まりと終わりになります。奇数の点が4つ、6つと増えると、その半分の本数に分けるしかありません。

橋を渡って帰れるか、から始まった

この条件を示したのはレオンハルト・オイラーで、1736年の論文「Solutio problematis ad geometriam situs pertinentis」に出てきます。プロイセンのケーニヒスベルクにかかる7つの橋を、それぞれ1回ずつ渡って元の場所に戻れるか、という街の言い伝えが題材でした。答えは「渡れない」。オイラーは橋の並び方を細かく調べる代わりに、陸地を点、橋を線に置き換えて次数だけを見ました。この論文はグラフ理論と位相幾何のいちばん最初の論文として扱われています。

ドミノで遊ぶときにも同じ判定が使えます。数字を点、牌を線と見れば、端の数を合わせて全部つないで輪にできるかどうかは、各数字が何枚の牌に登場するかで決まります。

補足:オイラーの論文は1735年8月にサンクトペテルブルクの学士院で報告され、『Commentarii academiae scientiarum Petropolitanae』第8巻(1736年)に収録された。オイラー自身は本文で十分条件の証明までは書いておらず、必要条件(奇数の点が3つ以上あれば不可能)の議論が中心で、厳密な証明は後年の数学者によって補われている。