5円玉は3.75グラム。硬貨6種を重い順に並べたら、1枚だけ額面の位置から動いた。
要点:財布の6種類を、重い順に並べ替えました。1円1.00g、5円3.75g、50円4.00g、10円4.50g、100円4.80g、500円7.10g(財務省の公表値)。額面の順とは1か所だけ入れ替わります。動いているのは50円玉で、この1枚には二度痩せた履歴があります。もう1枚、5円玉の3.75gは尺貫法の1匁(もんめ)とぴったり同じ数字。1000枚集めると、ちょうど一貫です。
硬貨の重さを覚えている人は、まずいません。僕も覚えていませんでした。
なので全部並べました。額面は6種類しかない。表にすれば終わる話です。……終わりませんでした。
まず、公表値を1枚の表にする
財務省の「通常貨幣一覧」に、直径と量目(りょうもく=重さ)が載っています。現在発行されている6種類は、こうです。
| 額面 | 直径 | 量目 | 素材 | 発行開始 |
|---|---|---|---|---|
| 1円 | 20.0mm | 1.00g | アルミニウム | 昭和30年〜 |
| 5円 | 22.0mm | 3.75g | 黄銅 | 昭和34年〜 |
| 10円 | 23.5mm | 4.50g | 青銅 | 昭和34年〜 |
| 50円 | 21.0mm | 4.00g | 白銅 | 昭和42年〜 |
| 100円 | 22.6mm | 4.80g | 白銅 | 昭和42年〜 |
| 500円 | 26.5mm | 7.10g | バイカラー・クラッド | 令和3年〜 |
1円玉が1.00g。きれいです。アルミの板を、そのまま1グラムに切っている。秤の校正に1円玉を使う人がいるのはこれが理由です(もちろん正式な分銅ではないので、精密な計量には使えません)。
重い順に読み替えると、1枚だけ動く
額面の順に量目だけを追います。1.00 → 3.75 → 4.50 → 4.00 → 4.80 → 7.10。4番目で下がりました。
10円玉が4.50g、50円玉が4.00g。50円玉のほうが軽い。「そんなことある?」と思って二度見ましたが、公表値です。並べ替えると、1円 → 5円 → 50円 → 10円 → 100円 → 500円。50円玉が10円玉を追い越して前に出ます。
大きさでも、同じ1枚が前に出る
直径でも順番を作ってみます。1円20.0 → 50円21.0 → 5円22.0 → 100円22.6 → 10円23.5 → 500円26.5。
10円玉が100円玉より大きいのは、レジで見慣れている人も多いはずです。ただ50円玉が5円玉より小さいのは、言われないと気づきません。手のなかで一番小さいのは1円玉、次が50円玉。
つまり日本の硬貨は、額面が上がるほど大きく重くなる設計になっていません。大きさを決めているのは金額ではなく、見分けやすさです。
順番を壊しているのは、50円玉です
履歴を追うと、犯人がはっきりします。50円玉は3世代あって、二度縮んでいました。
| 世代 | 発行 | 直径 | 量目 | 形の特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ニッケル貨(穴なし) | 昭和30年〜33年 | 25.0mm | 5.50g | ギザあり・穴なし |
| ニッケル貨(穴あき) | 昭和34年〜41年 | 25.0mm | 5.00g | ギザなし・穴あり |
| 白銅貨(現行) | 昭和42年〜 | 21.0mm | 4.00g | ギザあり・穴あり |
一度目の変更は、昭和32年から出回った100円銀貨(鳳凰)と紛らわしかったからです。どちらも銀白色でギザがあり、大きさも近い。そこでギザを外し、真ん中に穴をあけました。この時点では、直径は25.0mmのままです。
二度目が昭和42年。100円硬貨を銀貨から白銅貨に切り替えるのに合わせ、素材とサイズの系列をまとめて整え直したときの変更です。ニッケル貨が自動販売機で故障を起こす可能性も、理由として挙げられています。ここで25.0mmが21.0mmになり、50円玉は10円玉より小さく軽くなりました。
ちなみに、明治以降の日本の硬貨で、ギザと穴を両方持つのはこの50円白銅貨だけです。見分けの都合が、そのまま形として残っています。
3.75グラムという、キリの悪い数字
表に戻ります。もう1枚、目に引っかかる数字がありました。5円玉の3.75gです。ほかが1.00、4.00、4.50、4.80、7.10と刻んでいるなかで、これだけ小数第2位まで伸びている。
3.75グラムは、尺貫法の1匁と同じ数字。1匁は1貫の1000分の1で、1貫は1891年の度量衡法でキログラム原器の4分の15倍=3.75kgと定められました。
穴あきの5円玉が出たのは1949年(昭和24年)。前身の穴なし5円黄銅貨は4.00gでした。穴をあけた改鋳のときに、3.75gへ落ちています。
記録に残っている穴あけの理由は二つ。ひとつは、当時の1円黄銅貨と紛れたこと(同じ黄銅で直径差は2mm、どちらもギザ付き)。もうひとつは材料費の節約で、当時は「約5%」と説明されたそうです。ただ4.00gから3.75gなら、実際の減りは約6.3%になります。
では「1匁にそろえるために3.75gにした」のかというと、そう書いた公的な説明は、探した範囲では見つけられませんでした。数字が一致しているのは事実。狙ったのかどうかは確認できていない、が正直な線です(発行は計量法の制定より2年早く、尺貫法はまだ現役でした)。
匁のほうは、1951年の計量法で取引・証明に使えなくなりました。ただし例外が一つあって、真珠の質量は今も匁で計れます。国際的にも「momme」で通る単位です。
1キロぶんを、額面に換算する
せっかく全部の量目が手元にあるので、電卓に入れました。1キログラムぶん集めたら、いくらになるか。
| 額面 | 1kgに近い枚数 | 実際の重さ | 合計額 |
|---|---|---|---|
| 1円 | 1000枚 | 1000.0g | 1,000円 |
| 5円 | 267枚 | 1001.3g | 1,335円 |
| 10円 | 222枚 | 999.0g | 2,220円 |
| 50円 | 250枚 | 1000.0g | 12,500円 |
| 100円 | 208枚 | 998.4g | 20,800円 |
| 500円 | 141枚 | 1001.1g | 70,500円 |
1円玉は1000枚でちょうど1kg。50円玉も250枚でぴったり1kgです。同じ1kgで、1円玉と500円玉では70.5倍の差がつきます。
この計算、実務でも使われています。造幣局から日本銀行へ納入する麻袋は、50円玉なら1袋4000枚。金額20万円で、正味重量16kgと決まっています。4.00g×4000枚=16,000g。合いました。
5円玉でも試します。3.75g×1000枚=3750g。1貫です。額面は5,000円。財布に一貫は、たぶん入りません。
で、結局
6種類を1枚ずつ出すと、666円で25.15g。この25.15gのうち、10円玉と50円玉だけが額面の順に並びません。理由は昭和42年の100円玉のほうにありました。
500円玉も、静かに揺れています。白銅の7.20g(昭和57年〜)、ニッケル黄銅の7.00g(平成12年〜)、現行のバイカラー・クラッドで7.10g。直径は26.5mmを保ったまま、中身だけ三度変わりました。並べ替えは、また必要になりそうです。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.07.30
本記事はAI編集部が執筆しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。