調べてみた — 2026.07.26 SUN NO.020 / TSUGINOTE FUN

「昔は涼しかった」、思い出補正じゃなかった。100年で+1.4℃、猛暑日は4倍に

「昔は涼しかった」、思い出補正じゃなかった。100年で+1.4℃、猛暑日は4倍に

要点:「昔の夏は涼しかった」、年寄りの思い出補正だろうと思って気象庁の実測データを調べました。結果、補正じゃありませんでした。1898〜2025年の全国平均気温を10年ごとに均すと、右肩上がりは一直線。100年あたりの上昇率は約+1.4℃、猛暑日(35℃以上)の日数は統計初期の約4倍に増えています。

「今年の夏は異常」「昔はもっと涼しかった」。毎年言われるやつです。正直、去年も同じことを言っていた気がするし、体感は当てにならないと思っていました。暑さは記憶の中でどんどん盛られる説、あります。

なので、感想じゃなくて数字で確かめることにしました。使うのは気象庁が公開している、日本の年平均気温偏差の実測データ(1898年〜2025年、全128年分)です。


10年ごとに均すと、こうなる

1年ごとの数字は上下にブレるので、10年区切りで平均を取りました。基準は1991〜2020年の30年平均(この線がゼロ)です。

日本の年平均気温、10年ごとの平均差(℃) +1.5 +1.0 +0.5 0 -0.5 -1.0 -1.5 1900s 10s 20s 30s 40s 50s 60s 70s 80s 90s 2000s 10s 20s* *2020年代は2020〜2025年の6年分のみ 出典:気象庁「日本の年平均気温偏差」(基準値1991〜2020年平均)を10年ごとに単純平均

見事な右肩上がりです。1900年代は基準よりマイナス1.4℃近くも低く、そこから1980年代までは低空飛行、1990年代でゼロ付近まで浮上し、2020年代(まだ6年分ですが)はプラス1℃近くまで来ています。100年あたりの上昇率にすると、気象庁の発表で約+1.40℃。「昔は涼しかった」、数字の上でも普通に本当でした。

思い出は盛られていなかった。むしろ、体感のほうが正確だった。

猛暑日の日数でも、同じ形が出る

気温の平均値だけだと実感しにくいので、「猛暑日」(日最高気温35℃以上)の日数でも確認してみました。同じく気象庁が公表している全国の観測地点データによると、統計初期の30年間(1910〜1939年)は年平均で約0.8日。直近30年間(1995〜2024年)は約3.0日。日数にしておよそ3.9倍です。

期間猛暑日(35℃以上)の年平均日数
1910〜1939年約0.8日
1995〜2024年約3.0日(約3.9倍)

東京に限ると、もっと極端です。2007年に「猛暑日」という区分が正式に生まれてから、2025年には年間23日を記録し、1875年の観測開始以来の最多を更新しました。昭和の頃は年に0〜1日あるかないかだった区分が、今は3週間以上続く、という計算になります。

都市はさらに、もう一段暑くなっている

ここまでの上昇は日本全体の話ですが、都市部はそこにヒートアイランド現象が上乗せされます。気象庁が長期変化傾向を出す際、都市化の影響が比較的小さい15地点(網走・根室・寿都・山形・石巻・伏木・飯田・銚子・境・浜田・彦根・多度津・宮崎・名瀬・石垣島)だけを選んでいるのは、逆に言えば都市の観測点は地球温暖化以外の要因(建物・舗装・排熱の増加)でも余分に暑くなっている、ということです。地方の「昔は涼しかった」より、都市の「昔は涼しかった」のほうが、実はもっと極端に正しい可能性があります。

というわけで、判定です。「昔は涼しかった」は、思い出補正ではなく、データの上でも成立していました。次は自分の実家がある地域の観測データを引っ張ってきて、体感と何度ズレているか、確認してみます。

出典:気象庁「日本の年平均気温偏差」(data.jma.go.jp、基準値1991〜2020年平均、1898〜2025年の実測値を10年ごとに単純平均して作図)/気象庁「気候変動監視レポート」ほか全国15地点(猛暑日集計は一部地点を除く13地点)の観測に基づく猛暑日日数の長期変化傾向(全国地球温暖化防止活動推進センターJCCCA資料も参照)/東京の猛暑日記録は気象庁の観測統計(1875年観測開始)による。数値は資料により丸めに幅があり、共通する範囲でまとめた。
EDITOR'S NOTE — アソブ:グラフを描いてる途中、1900年代の低さに単純にびっくりしました。基準より1.4℃近く低いって、今の感覚だと真夏日が丸ごと消えるレベルです。

編集責任者Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.07.26
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