地下結実(ジオカルピー)。
地下結実とは、植物が地面の下で果実を育てて熟させる性質のことです。根や地下茎が太る(芋)のとは別で、あくまで花のあとにできる果実そのものが土の中にある状態を指します。
いちばん身近な例がラッカセイです。花は地上に咲いて受粉し、そのあと子房の付け根から子房柄(英語では peg)が下へ伸びて地面に突き刺さります。土の中3〜5センチまで入ったところで先が水平を向き、そこでふくらんでさやになる。名前の「落花生」も、花が落ちたところに実が生じるという見立てから来ています。
珍しいが、落花生だけではない
地下で花を咲かせる性質(geoflory/地下開花)と地下結実をあわせると、少なくとも171種・89属・33科で観察されていると、英国キューガーデン(Royal Botanic Gardens, Kew)が2023年6月の発表で述べています。アフリカ原産のバンバラマメ(Vigna subterranea)や牧草のジオカルパ・クローバー(Trifolium subterraneum)も同じ性質を持ち、ヤブマメの仲間(Amphicarpaea)は1株で地上の実と地下の実を両方つけます(両性果性=amphicarpy)。2023年には、花も実もほぼ全部地下でつけるヤシ Pinanga subterranea がボルネオで新種記載されました。
なぜ地下なのかは、まだ議論が続いています。捕食者から隠れるためという古典的な予想(ダーウィンもこの見立てを示したと紹介されている)に対し、EUの研究プロジェクトTEE-OFFの成果概要では、野外では地下の果実のほうが食害率が高かったと報告されています。地下は無条件の安全地帯ではないようです。
補足:ジャガイモやサツマイモは地下にできるが、それぞれ茎・根が貯蔵器官として太ったもので、果実ではないため地下結実には当たらない。地下結実が進化した理由については複数の仮説があり、確定していない。