用語辞典 — ツギノテ。FUNGLOSSARY

スキューモーフィズム

スキューモーフィズムとは、現実の物の見た目や質感、構造をデジタルのデザインに写し取る手法です。フロッピーディスク=保存、ゴミ箱=削除、紙の封筒=メールのように、利用者が既に知っている実物にたとえることで、初めての操作でも意味を推測できるようにします。

画面上のアイコンやボタンという発想がまだ新しかった時代、人は「この絵を押すと何が起きるのか」を手がかりなしに理解できませんでした。そこで、机の上にある見慣れた物をそのまま絵にする。ゴミ箱に捨てれば消える、フォルダに入れればまとまる——現実での経験がそのまま操作の意味を教えてくれる、という設計です。初めての道具を、慣れた比喩でくるむ方便でした。

実物が消えても、絵は残る

面白いのは、たとえに使った実物のほうが先に姿を消す場合があること。フロッピーディスクは市場から消えましたが、「保存」の絵は今も四角い円盤のままです。この段階になると、絵は実物に「似せたもの」ではなく、意味だけを指し示す「参照する記号」に役割が変わります。受話器の形をした通話ボタン、紙の封筒のメールアイコンなども同じ経路をたどった例です。

補足:スキューモーフィズムは、写実的な質感表現(影・光沢など)を指して使われる場合と、実物への比喩全般を指す場合がある。文脈により範囲が異なる点に留意。